本文へ移動
008
最終更新2026.11.06
ゲーム雑学の一覧へ

任天堂はスーパーに負けた?「スーパーマリオ」の商標争い

かごを手にした買い物客が果物の並ぶ食料品店を訪れる場面を描いた生成ドット絵

コスタリカには「Súper Mario(スーパーマリオ)」と呼ばれる食料品店があり、任天堂の米国法人は、その店の商標登録に異議を申し立てました。現地の登録当局は異議を退け、店側の商標は2024年12月10日に登録されています。「任天堂がスーパーに裁判で負けた」と広まった話は、登録当局が判断した行政上の手続きを指します。

官報と登録証の写しを照らし合わせると、争われたのは、食料品店のサービスに使う名前と図柄の組み合わせでした。ゲームの名前と同じように聞こえるのに、なぜ店の登録が認められたのでしょうか。

「スーパーマリオ」は、マリオさんのスーパー

店があるのは、コスタリカのアラフエラ州サンラモン。現地のテレビ局Teleticaは、食料品店の名前が店主のホセ・マリオ・アルファロ・ゴンサレスに由来すると伝えています。店側代理人によると、現地で「súper」は食料品店を指す呼び方です。

二つをつなげると、「マリオさんのスーパー」という、近所の人に通じる店名になります。日本語にするとゲームと同じ名前に見えますが、店の側にはこのような由来がありました。

出典:Teleticaの店舗取材(2025年1月29日) / CR Hoyの店側代理人への取材(2025年1月29日)。2026年11月4日確認

官報に載った出願は、2013年と2024年で別だった

店側の記録には、番号の異なる二つの出願があります。2013年に出願したのは、食料品や日用品を扱う店を識別する商号です。翌年の官報に、出願番号「2013-0011081」が載っています。

2024年3月22日の出願は「2024-0002687」。こちらは基礎生活物資を第三者向けに調達するサービスを対象にした、第35類のサービス商標でした。5月20日の官報と、12月10日の登録証の写しで出願番号が一致し、登録番号は「403510」と確認できます。登録証の図柄には濃い色の半円があり、その下の黄色い帯に「SUPER MARIO」と入っています。

時期確認できたこと
2013年12月店を識別する商号を出願
2024年3月第35類のサービス商標を出願
2024年12月サービス商標が登録される

現地には「更新」と伝えた報道もあります。官報で二つの出願を比べると、2013年は商号、2024年はサービス商標と記されており、2024年の手続きは別の出願として追えます。

出典:コスタリカ官報 La Gaceta 第47号(2014年3月7日) / コスタリカ官報 La Gaceta 第89号(2024年5月20日) / コスタリカ国家登録局の登録証の写し(games fray 掲載)(2025年2月2日掲載)。2026年11月4日確認

登録当局が見たのは、任天堂の店と間違えるか

任天堂の米国法人も、コスタリカで「SUPER MARIO」を出願していました。2021年の官報では、ゲームソフトのほか、バッグ、衣類、おもちゃなどが対象です。現地の法律家の解説によると、任天堂側は自社商標の知名度を挙げ、同じ読み方の店名は消費者の混同を招くと主張しています。

現地報道によると、コスタリカの国家登録局は2024年11月に異議を退けました。決定書を引用した報道では、名前や図柄を全体として見れば、買い物客は二つの事業者を区別できると判断したと伝えています。Delfino.crの解説に載った決定書の一節でも、買い物客がその店を任天堂の支店だと考える可能性は低い、という趣旨が示されました。

商標の区分が違えば必ず登録できる、という話ではありません。コスタリカの商標法では、広く知られた商標について、分野が異なっていても、客が関連企業だと思うおそれや、知名度に便乗する使い方などが問題になります。この件で認められたのは、店側が申請した図柄とサービスについての登録です。

出典:コスタリカ官報 Nintendo of America の出願公告(2021年12月22日掲載) / AmeliaRuedaの現地報道(2025年1月28日) / La Naciónの取材記事(El Economista掲載)(2025年1月29日) / Delfino.crの知的財産専門家による解説(2025年2月13日) / コスタリカ法令データベース 商標法の改正法(2008年、第8条・第44条の改正部分)。2026年11月4日確認

スーパー「スーパーマリオ」の商標争いでよくある疑問

2025年に話題になったのに、登録は2024年?

登録証の写しにある登録日は2024年12月10日です。店側代理人を取材したCR Hoyによると、結果が店側に通知されたのは2025年1月で、現地で報じられたのもその月でした。

任天堂のゲームの商標も取り消された?

今回の異議で判断されたのは、食料品店側が出願したサービス商標を登録するかどうかです。任天堂のゲームの商標を取り消したという話ではありません。

出典:CR Hoyの店側代理人への取材(2025年1月29日、2026年11月4日確認)

決定書の全文は確認できていないため、判断理由は決定書の一部を掲載した現地報道・解説に基づきます。アイキャッチは架空の食料品店を描いた生成ドット絵です。